角居勝彦Special Interview:vol.2

現在の活動を教えてください

今はトレーニングが終わった競走馬たちがJRAの支援のもとで、たくさん乗用馬に転用されていますが、

乗馬クラブの馬房のパイは増えているわけではないので、

結局いいトレーニングされていい乗用馬ができたとしたら、

そこに乗馬クラブの中でいらなくなった馬が押し出されて

結局殺処分に向かわせただけのことになってしまいます。

それは本末転倒だなということに気がついて、

乗馬クラブから出てきた馬をどうやって助けるかということを

一頭ね…ドリームシグナルという馬を使って、

地域創成と「こいつにも役割があるんだ」ということを見せながら

支えていけるようになればと思っています。

ではこの馬がロールモデルとして、これから新しい馬たちを受け入れて同じような馬を輩出していこうということですね。

まあまずはたった一頭ですが、石川県の行政とか観光とか

ファンドのようないろんな形の中でシステムを立ち上げて、

観光事業にしようだとか、労働を作ろうだとか、いろんな支援の声が届いています。

前回伺った際に、グランピング施設のようなものを作ろうという構想がありましたね?

現実をちょっとおびてきています。

馬乗りの人間が必要ですね。

どんな馬が入ってきてどんなタイプの乗用馬かわからないから

かなりの技量を持っている人材を呼び込まなければいけないです。

資本が入ってくる段階で人を呼び込んで、一斉に馬作りをしないといけないと考えています。

その受けいれる馬はどこから〜とか具体的な考えはありますか?

いえ、どこからでも。

競走馬上がりでどこも受け入れがないという馬でも、

乗用馬の馬でもいいし。どこでも。在来種でも。

今後の展望、今後の活動

競馬の世界では競馬やダービーがあるからこそ盛り上がっているし、

競馬のファンというのはより強い馬を見たいというのが夢だと思います。

だからオーナーさんには生産界を支えるためにいい馬を持っていただきたい。

なのでやっぱり7000頭という数を減らさないほうがいいと思うんですね。

日本の競馬界は世界でも通用する段階にきていて、

その生産キャパを絞っちゃうとどうしても弱くなるのは明らかなんです。

やっぱりこの7000を維持しようと思ったら、

そうやって生産されてきた馬の余生をちゃんと送ることができるよう考えられた仕組みを作るということに関しては、

アニマルウェルネスの観点で説かれているとおり、そこの受け皿を作っていく事をしていかなくてはならない。

今のところ一般企業からの支援が期待できれば、なんとかしてここで持続的な事業として取り組んでいきたいと思っています。

そういうところを全国に何箇所か作っていきたい。

できるかどうかは別にして、色んな方と手を組んで、100頭を受け入れる拠点を30箇所つからないといけません。

それはどこが終わりかわからないけど、チャレンジしていきたいと思っています。

その延長には、最終的に目標であったホースセラピーという団体の世界を実現できたらいいなと思っています。

そのために今ここは行政が使わなくなった土地を利用させてもらっています。土地はできた、お金も集める。

あとは次の人材を育てるということで、JRAから近々に定年退職者が一斉に増える時期になる。

シルバー人材がこちらの方に来ていただけるようなシステムを作りたいというのと、

それから今天理大学の方では株式会社を作ってくれていて、そこでホースセラピーをするための事業所を作ってくれています。

天理大学が医療系の大学と一緒になるんで、そこから理学療法士であったり

作業療法士とか臨床心理者などの医療的な資格を持った方が

今度そこに流れ込んでいくようなシステムを作っていこうと考えています。

やはり必要なのは人材ですね。

そうですね、この仕組みを成功させて、

「じゃあうちのとこでもやってほしい」

と行政が言ってくれるようになり、

これまで競馬と関わりのなかった企業とかもコラボレーションして

活動ができていけば良いなと思っていますね。

この場所がパイロットケースとして色んなところに転用できていけばいいですね。

これからSDGsなども環境問題もありますし、

それから高齢者とか障害者とかをどうやって支えるんだという話もありますし

社会保障の問題とか介護の問題とか、どんどん大きくなるのは日本の課題です。

その辺に馬が携わっていければいいなと思いますね。

素晴らしいですね。どのようにしてその思想が培われたのでしょう?

こういうことやっているとね、色んな方が寄ってきてくれてね。

こんなのどうなのとか。

こんなのやれない?とか言ってきてくれてね。

そしたらこの人とこの人繋がればどうかなとか。

僕は繋いでいくだけですね。

馬運車を提供させていただくのですが、

馬運車についての用途等お伺いできればと思います。

競馬の世界てのは、オーナーさんがこの馬がもういいよ、

とか調教師がこの馬使えないなあとかなった時点でお金にならない馬になってしまうんですね。

そうすると今の中央競馬だと、一日大体馬房にいるだけで2万円かかってしまう。

長引けば長引くほどお金がかかってしまう。

そうすると早く出したほうがいいのですが、いく先がすぐに見つかるわけでもない。

基本的には大きな馬運車会社に頼むんですが、そうすると、競馬場から北海道に向かうか、

競馬場から九州に向かうかというルートしかない。

ちょっと寄り道してくださいと言っても、そこはどうしても難しいので、

結局牧場に近いルートの乗馬クラブのルートを辿るしかない。

なので、小さい馬運車があって小回りがきくようになるともっと多くの命を助けることができる。

そういうことでご協力いただけると…。

ありがとうございます。

貢献できて光栄です。

5年間待ちに待った馬運車です。あっちこっちに当たりました。

最後にメッセージをお願いします!

クラブの方がこういうように引退した馬に関して

興味を持っていただいたのは本当にありがたいことだなと思います。

たくさんの会員さんの中でやっぱり名付け親がいたり、

ずっと追いかけたりする方が多かったりするんで、

そういった方々にとっても、余生も幸せに生きながらえる限り

支援させていただくような仕組みがあれば

もっと安心して馬が買えるのかなと思いますし、そこが一番大事なテーマかなと思います。

これからも頑張りますので。

よろしくお願いいたします。

角居勝彦 Sumii Katsuhiko 

1964年石川県金沢市生まれ。一般財団法人ホースコミュニティ代表理事。認定特定非営利活動法人サラブリトレーニング・ジャパン理事長。2000年に調教師免許を取得し、2001年に厩舎を開業する。以後19年間に、JRAでG1 26勝、重賞競走 計82勝を含む762の栄冠を掴む。最多勝利3回、最多賞金獲得5回など13回のJRA賞を受賞。地方、海外を合わせたG1 38勝は現役1位。デルタブルースでメルボルンカップ、シーザリオでアメリカンオークス、ヴィクトワールピサでドバイワールドカップを勝つなど国内にとどまらない活躍をする。56歳で引退。現在、現役時代から取り組んできた引退馬のセカンドキャリア支援や障がい者乗馬など福祉活動に尽力している。

※リトレーニングを行なっている施設がふるさと納税を行なっております。皆様方のご支援お待ちしております。


認定特定非営利活動法人サラブリトレーニング・ジャパンからのお知らせ

岡山県吉備中央町の「ふるさと納税」を使って引退馬のリトレーニング 

を行なっています。皆様方のご支援お待ちしております。

▶︎ふるさとチョイスhttps://www.thoroughbret.org/furusato/

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